どのような研究をしているのですか?
大学生が卒業までに身につけるべき能力として、「社会人基礎力」や「学士力」という指標が取り上げられています。これらの能力は個々の授業科目や社会生活のなかで習得していくべきものですが、私は大学のいわゆるキャリア教育科目群の中で、それらを一定の水準へ引き上げる効果的な方法論について研究しています。明治時代から連綿と続く我が国の職業教育と、近年に欧米から導入された概念であるキャリア教育の関係性を分析し、学生に有効なキャリアデザインの方法について研究しています。また人材管理における育成論についても大きな関心を有しており、少子高齢化の進む日本社会において、有為な人材をどのように育てるかということについて、これまでに蓄積されてきた多くの先行文献と、近年のデータを照らし合わせながら研究を進めています。 |
この道に進んだきっかけを教えてください
もともとは、企業という組織がどのようにして生まれ、大きくなり、消滅していくのかという企業のライフサイクル論に興味がありました。大学卒業後、会社や学校法人で仕事を経験する中で、人間のキャリアの構築行動と企業組織の行動サイクルの異同について大きな関心を寄せるようになりました。そこで、大学院で人的資源管理論をベースとした教育方法論を学びはじめたのですが、学べば学ぶほど奥が深く、恩師の勧めもあり、博士課程に進学しました。私の研究フィールドは経営学と教育学の複合領域にあり、これらを引き続き研究できる職場として教員という職業を意識したときに、ご縁があり、この道に進むことに決めました。 |
研究分野の「ここが面白い!」を教えてください
私達が生きる現在は、従来型の「読み」「書き」「ソロバン」式的な学問を習得するだけでは通用しない世の中だと言えます。高度な知識基盤社会の到来のうえに、AIやDeep Learningといったテクノロジーが浸透しつつあり、我々は、学ぶことの手法や体系をゼロベースで考え直す必要があります。その際に、どのような教育手法が効果的なのかということにつき、これまでの教育学的アプローチとは別個に考える必要性があります。大学教育のシステムに企業的な人材育成論の手法を取り入れることは大変に刺激的であり、先人のこれまでの研究に貢献の余地がある点でとても面白いと考えています。 |
高校生へのメッセージ
本学の特徴は何よりも、「アットホーム」であり、学生と学生の距離、学生と教職員の距離が近いということにあります。学生も教職員もお互いに顔を知っているという、大規模大学では味わうことのできない「温かさ」や「くつろぎ」の感覚を味わうことができると思います。また、いろいろな国から留学生が学びに来ており、国際色豊かな大学でもあります。高校生の皆さん、是非、オープンキャンパス等を通じて本学を体験してみてください! |
略 歴
早稲田大学卒業。桜美林大学大学院修士課程・修士(大学アドミニストレーション)、慶応義塾大学大学院博士課程・所定単位取得退学、東京農業大学・博士(生物産業学)。北海道文教大学教授を経て、2020年4月より現職。
専門分野 |
人的資源管理論、キャリア形成、金融教育 |
担当教科 |
経営学、会計学、簿記論、キャリアデザインⅠ・Ⅱ・Ⅲ |
趣味/特技 |
趣味は、読書や音楽鑑賞。特技は、寝ること。 |
おすすめの本 |
高根正昭(1979)『創造の方法学(講談社現代新書)』
40年以上も前の本ですが、古典的名著です。特に若い人にとって、情報が氾濫する社会の中で、いかにして知を創造していくかということを今もまったく古びることのない筆致で教えてくれています。 |